5、ギフト持ちの犯罪

1542 Words
「だからっ!姉貴が自殺するわけないだろっ!どう考えても君がなんかしたんだろっ!?」 「なんかってなんだよ、おっさん?言い掛かりがうぜーんだけど」 ここ連日、おばさんの弟を名乗る変なおっさんが家にやって来る。 いつもはすぐに追い返すと消えるのだが、今日は中々にしつこい。 「姉貴は君に怯えていた……。怖い、旦那が殺されるかもって僕に何度も何度も相談してきたんだぞ!?その2人が自殺!?あり得ないだろそんなの!?秀頼、お前が殺したんだろっ!?」 「知りません。2人が自殺した時は俺は自宅に居ました。証人も存在します。どうか変な言い掛かりはよして帰ってください」 「ふざけた態度もいい加減にしろっ!」 はぁ……。 うるせぇシスコンだなぁ。 世の中シスコンしか居ないのか……? 『命令支配』使って退場させたり、黙らせるのも考えていたが、そんなの面白くない。 俺はこのおっさんの弱点という弱点を徹底的に探らせてある。 「姉貴がもしかしたら秀頼がギフト持ちじゃないかって怯えていた」 「あ?」 ギフト、その単語を聞いて一気に警戒心を上げる。 あのババア、ペラペラと喋っていやがったな。 「ギフトだったら殺しのアリバイとか要らないんじゃないのか!?『相手を自殺させる』ギフトとか前例も実際確認されている」 「ほぅ……」 『相手を自殺させる』ギフトねぇ……。 しょっぱいなぁ。 俺のギフトの完全下位互換だ。 自分のギフトが如何に優れた最強チート能力かというのを強く自覚する。 「『相手を自殺させる』能力とかではないにしろ、どうだ?ギフト持ちは図星だろう?僕は君をこれから『ギフト管理局』へ通報させてもらう。ギフト持ちの犯罪は重罪だ」 「…………」 「何を、……何をニヤニヤ笑っていやがるんだっ!」 通報ごときで俺に勝ったと思っているおめでたい脳内にだよ。 おばさんは無能だった。 その血が繋がった弟もやはり無能だったことがわかった。 「ちょうど俺のツレから連絡あってさ」 「ツレ?」 「そうそう、一応俺の彼女がこれからここに遊びに来るって」 そう言うと、ガラリと家の出入口が開かれる。 突然の音に、おっさんはそちらを振り替える。 「あっ、秀頼君こんにちは」 「おう、待ってたぞ絵美」 「エヘヘー」 短いツインテールを揺らしながら絵美が顔や手、脚を血で塗らした身体で笑いながら家に上がってくる。 ーー何かを引きずりながら。 「ま、待て!?オイッ!?」 「ちょっと、おじさん!セクハラやめて」 伸ばしたおっさんの手を払い除ける絵美。 絵美の払い除けた方の逆の手には女の脚が掴まれている。 「ちょうど車で待たせてたみたいだね。ダメだよ、おじさん?可愛い娘さんを車に閉じ込めるなんてかわいそー」 「咲夜……?」 「車のサイドウィンドウ割っちゃった、ごめんなさい」 申し訳なさそうに頭を下げる絵美だが、おっさんは絵美が引きずる女にしか目が言っていない。 「おい、……殺したのか!?咲夜を!?」 「あー…………。娘さんが暴れるからさ。ちょっと半殺し程度に殴っちゃった程度ですよ。おじさんはちょっと大袈裟に驚き過ぎです!ごめんね」 「ま、……ますたー」 血と涙で塗れた顔を娘はおっさんに向ける。 彼は絵美と俺に対して怒りを爆発させた。 「お前らぁぁぁぁ!姉貴のみならず咲夜までっ!?」 「あ。そういう暑苦しいの要らない。【突っ立って、黙って見てろ】」 「!?」 絵美がようやくおっさんの弱点を連れ出してきた。 こうやって相手を苦しめる時が1番楽しめるもんだ。 「ふへへ、あんたが推理したことと経験していること。2つのことからたどり着いたと思うがこれが俺のギフトだ。俺の命令には、誰も逆らえない」 「キャハハハ!秀頼君が、おじさんに娘ちゃんを殺せって言っても逆らえないからね。おじさんの負けー」 「ーーーーーー!」 何か言いたげだが、俺の命令がある限り口を開けない。 この場の勝利は俺が制した。
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