第13話 床板と二軒目の煉瓦小屋

1663 Words
 翌朝も天気は良かった。  日の出と共に煉瓦の小屋から起きだす。  この小屋で寝てみて解ったが、床が土や煉瓦だと体温が奪われるんだ。  そういえば王都で住んでた屋敷でも床は木材でかさ上げをして、板張りになっていた。  大事な部分だったんだな。  と言う事で、今日は木材を切り出す事に集中しよう。  堀の外側に広がる森を伐採する。  幅は百メートル奥行きは五十メートル程の範囲で取り敢えずは行おう。  風魔法で木を切り倒し、枝を落としていく。  ある程度切り倒すと、今度は土魔法で地面を掘り根っこを掘り起こす、  切り倒した木の落ち葉と根っこは、火魔法で燃やして灰にする。  この灰は畑の土と混ぜても良いし、モルタルに混ぜ込むのにも使えるから、とても便利がいい。  枝は薪として使えるから、長さだけ揃えて貯めて行く。  一日かけて、漸く目標の範囲の伐採を終わった。  明日は、木の皮をはいで角材と板材に切りだして、床を作りたいな。  森を見渡すと、野鳥が止まっているのが見える。  結構大きな鳥だ。  俺は弓を取り出して、狙いをつけた。    俺の放った矢は、見事に鳥を貫き落下して来た。  今日は、鳥肉で料理が作れるな。  拠点に戻り、血抜きをして羽をむしり捌く。  野菜的な物は、まだ薬草しか見つけて無いから、薬草と一緒に鍋で炊いた。  鳥肉たっぷりのスープと、ルビーフルーツで腹を満たす。  主食的な物が欲しいな。  やはり一度街へ出向いて、毛皮や魔物の魔石を売りに行かないと駄目かな。  魔法の鞄があれば困らないんだけど……  あれは高いんだよな……  今までは貴族家で過ごして来たから当り前のように使って来たけど、買うとなると一千万ゴルはしちゃうからね。  一般的な家庭の収入は月に二十万ゴル程度しか無いから、ほぼ四年分の稼ぎが必要になる。  現実的では無いな。  一度ビスティに行って見るか。  何かヒントになる事があるかもしれない。  ウルルと話せば一人で考えるより、いい案が出るかもしれないし。  でも最低限、二軒の小屋を生活が出来るレベルまで作り上げるのが先かな?  何も成し遂げないうちに人に頼るのは駄目だろ?  翌日は予定通りに木を加工する。  木の皮をはいで、エアカッターで角材と板材を切り出す。  この魔法で加工をすると、生木であっても反りや歪みが出にくい事を、木材加工の本で読んだことがある。  切断と乾燥を同時に行えるらしい。    木材加工をしながら考えていた。  今まで、俺ってギフトに恵まれて無いし、上位スキルが使えないから役に立たないって言われてて、実際上位スキルを使える奴らと比べて弱いと思ってたけど、今の俺って初級スキルだけなんだけど、そんなに弱く無いんじゃないかな?  一メートル以上の直径のある木だって、一撃とは言わないけど、木こりの人が斧で伐採するよりは全然早く倒せるし、火魔法だって煉瓦を焼くのに、大きな煉瓦用の窯より効率的に作れてるよな?  なんでだろ?  みんなが同じ効率で出来るのなら、もっと初級魔法を使える人間は重宝されるはずだけど?  俺のギフトと関係あるのかもしれない。  でも確証は無いから、その辺りもウルルに少し相談にのって貰おうかな?  煉瓦の小屋は正確に長方形の形で出来上がっているので、角材と板材を長さを揃えて並べれば、立派に床ができ上がった。  床板の厚さは普通の住宅よりは、かなり厚めの5㎝幅で揃えたし、結構頑丈だと思う。  釘は一切使って無いから、改装の時も簡単なはずだ。  明日は二件目の小屋を組み上げよう。  今度は煉瓦製のドーム型天井をモルタルで張り合わせながら作り上げる予定だ。  内壁に木材で張りを通して、補強をしながら行えば、難しくはない筈だけど、実際に時分で組むのは初めてだから、上手くできればいいけどな?  それと、もう一つは拠点の堀の外側に落とし穴を沢山作っておきたいと思う。  まだ魔獣の襲撃は受けて無いが、これは運が良いだけだと言う事は、自分でも解ってる。  竹やりの|槍衾《やりぶすま》で迎撃できる落とし穴はかなり魔獣には有効な筈だ。  安全マージンはいくらとっても取り過ぎではない。    他の人が住むようになれば、人が落ちない様な対策は必要かもしれないけどね!
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