第10話 大茶会(ミーリア視点)

1333 Words
「ダンタリアン様ぁ。何したらいいの?」 「良いかミーリア。まずはこの国を手中に収める為の行動だ。敵は身近から湧くものと知れ。今ミーリアと呼んだ私の声。これを聞いたものは、ミーリアがセシリアでない事を知った事になる。これを許すな」  そう言うが早いか、周りに居たセシリアの侍女を雷が打ち抜く。 「ダンタリアン様と呼んだお主の声を聞いた者。これを許すな」  そう言葉にし、この部屋の入口に立つ近衛騎士二名の足元に影が現れ、影のの中に二人を引きずり込む。 「良いか?」 「あ、あの。なんて呼んだらいいの?」 「この姿だ。マーサと呼べ。お前はセシリアで通すのだ」 「解ったよ……」 「次はそうだな。セシリアがレオンハルトに婚約破棄を申し付けたから、次期女王に王配が居ない状態は望ましくない。茶会を催せ」 「誰でも好きなのを選んで構わないの?」 「権力を見せつける良い機会だ。派手に行おう」  そこで、ダンタリアンに提案された内容に少し驚いたけど、私的には全然ありだ! って思った。  王国の伯爵家以上に王宮から書簡を送る。  差出人はこの国の女王『ミランダ』の名前。  王家の紋章の封蝋も押してある正式な書簡である。 『王都大茶会のお知らせ。参加資格は伯爵家以上の血筋を引く未婚の男子。この茶会の参列者の中より王配が指名されることなり』  王国所属の伯爵家以上に届けられたその書簡により、王国貴族達は色めきたった。  その当日。  艶やかに着飾ったセシリアの前には、八十名を超す伯爵家以上の未婚男子が並んだ。  未婚の男子としか指定しなかった事もあり、下は五歳から上は四十八歳までと言う、あり得ない参列者の陣容であった。  その中にはアーサーの姿もある。   「皆様方本日はよくおいで下さいました。このハインツ王国は私が王配を定め婚姻を行えば王位はこの私セシリア・フォン・ハインツが受け継ぐ事と決まりました。皆様方は次代の王配として、宰相として、私と同じ価値観であるかが問われます。王配として成し遂げたい事を私に提案下さいませ。全員の意見を聞き入れその中から選ばせて頂きます。選ばれる方以外にもそのお考えにより、私が思う最善のポジションを用意して差し上げましょう。我がハインツ王国に栄光あれ」  高らかに茶会の開始を宣言する。  日が傾き始めた頃に、漸く全員との話を終えいざ王配の決定を告げる時となる。  セシリアが高らかに発表する。 「次代の我がハインツ王国の王配は、今日参加された皆様、全員とさせていただきます。来月には正式に挙式を行い、王配としてこの国の発展に尽くしていただきますよう、よろしくお願いいたします」  それを聞いた参加者一同は啞然とした。   「全員が王配でございますか? それでは、各貴族家も跡取り問題で困るのでは無いでしょうか?」 「ご不満のようですねアーネスト。不敬です。首を跳ねなさい」  次の瞬間セシリアの背後に控えていた、マーサの姿をしたダンタリアンによって、アーネストと呼ばれた侯爵家の長子の首が跳ね飛ばされた。 「アーネストの謀反により、ベッケン侯爵家は改易とします。その資産は全て国庫に回収。一族は三親等に及び身分剝奪の上に国外追放といたします。他にご不満の方はいらっしゃいますか?」  にこやかに微笑むセシリアに、他の参加者の背筋は凍り付いた。
Free reading for new users
Scan code to download app
Facebookexpand_more
  • author-avatar
    Writer
  • chap_listContents
  • likeADD