第11話 屋根と橋を作る

1498 Words
 朝を迎えた。  今まではずっと晴天が続いていたけど、今日は薄曇りの天気だ。  これは、今日いっぱいは天気がもってもらわなきゃ困るな。  俺が寝ている土製のドームも雨が降れば、水を吸い込んで崩壊しそうだ。  今日中には何とか煉瓦で組んだ小屋に屋根を付けないと、全てがびしょ濡れになる。  森だから木は周りに大量にある。  本格的な煉瓦組の屋根を作るのは今日一日では難しいけど、簡易的な屋根なら何とかなりそうだ。  まず竹が密集している場所に行き、風属性魔法のエアカッターで竹を2二百本ほど伐採した。  これの長さを揃えて、煉瓦造りの小屋の上に並べて植物の蔓で頑丈に結びつける。  その上に幅五十センチメートル長さ一メートル程の大きな葉っぱを並べて雨を防げるようにして簡易的な屋根を作った。  取り敢えず屋根を作ると、焼き上げて無い簡易レンガを小屋の中に運び込み床に積み上げる。  干し魚や、干し肉も全部運び込む。  街に行くときに売ろうと思っていた、魔獣の毛皮もだ。  そこまで終わった頃に、雨が降り始めた。 (間に合って良かったな)  この日は部屋の中で乾いた煉瓦を焼成して、時間を過ごした。  思いのほか雨は強く、竹の骨組みに葉っぱを敷いただけの天井は、音が響く。 (こんな雨が降るんじゃ、ドーム式の天井を早めに組みたいな)  そうか、ここはこのままにして置いてもう一軒建てればいいや。  そっちを先にドーム式の天井を組み上げてから、こっちの修正をすればいいな。  煉瓦をきちんと組み上げて固定するためには垂直に組み上げる壁だけなら粘土で十分だけど、ドーム部分はモルタルで固定しないと心配だ。  モルタルは石灰岩を焼成して粉にしたものに。藁と砂と水を混ぜて作る。  藁は無いから、干し草で代用だな。  石灰岩はこの辺りには沢山ある事が確認できている。    基本属性だけでも、魔法が使えなかったらとても大変な作業だ。  もしかしたら、俺の基本属性の初期魔法が全部使えると言うのは、結構反則的かも知れないな? と思い始めた。  それに……この森に来てから今まではあり得なかった事だけど、毎日魔力が空っぽになるまで魔法を使い続けるので、かなり魔力も増えてると思う。  魔力操作もそうだ。  ただの練習では無く目的を持って使用する魔法では、繊細な魔力操作を要求されるから、凄く精度が高まっている気がする。  翌朝は雨も止み、日も差していた。  川の様子を見に行こうと思い外に出た。  水位はかなり上がっていたけど、氾濫をするほどでは無かったので安心した。  でも濠への引き込みの水路を作る時には、引き込み口に水門を作らないと危険だなと思った。  先に大雨を体験できたことは、逆にラッキーだったかな?  今日の予定は、まずは濠の中に煉瓦を積み上げて橋を作る。  この橋に使う煉瓦の組み上げ方も、俺は学園で学んでいたから大丈夫だ。  本当に勉強を頑張っていてよかったと思う。    午前中には何とか橋を組み上げる事が出来た。  まぁ濠の幅は五メートルしか無いし、橋の横幅も三メートルだからそこまでの大工事でも無いんだけどね。  組み上げた煉瓦の上には、伐採した木をエアカッターで角材に切り出して敷き詰めて完成だ。  そしていよいよ川からの引き込み水路を作る。  大きな川から直接引き込むような危険な事はしないよ?  本流に流れ込む支流から引き込み水路を作った。  勿論水門も作り、昨日のような大雨の時は流れを遮断できるようにする。  後は橋の拠点側には門を作らないといけないな。  これでひとまず最初の拠点は完成だ。  後は人が増えて来てから堀の内側に石垣を作って補強したりしなければならないけど、まだ現時点では問題は無いだろう。  夜は煉瓦の焼成を魔力が尽きるまで頑張って、心地よい眠りについた。
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