第6話 ハインツ王国の明るい未来計画(ミーリア視点)

1513 Words
 セシリアとレオンハルトを追い出して、この国の女王であるミランダ母様は洗脳しちゃったから、もうこの国は実質私の物ね。 「ねぇダンタリアン様。私はめんどくさい事嫌いだから、母上やセシリアみたいに、国を運営するとか政治とかはどうでもいいんだけど、そんなのはダンタリアン様に任せちゃっていいの?」 「俺が求める物は、人々の悪しき感情だ。傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、強欲、貪食、淫蕩に支配された高慢から起こる全ての悪しき感情を求める」 「ダンタリアン様ぁ、言葉がが難しくて私全然解んないしぃ、私は自分だけ贅沢出来て、カッコいい男の子が全部私の言う事を従順に聞いてくれさえすれば後はどうでも良いんだよね」 「要は奪い。犯し。征服する世界を求めるだけだ。手始めに周りの国に戦争を仕掛けて奪いつくそう。よいかミーリア? いくら支配者と言えど、自分の側にいる者から奪えば、その者に寝首をかかれる物だ。だから他の国から奪いつくすのだ」 「それで贅沢出来るなら、全然構わないよ?」  ◇◆◇◆   私が洗礼の儀式で得たギフトは【召喚】と言う物だった。  でも私が呼び出せるのは、精々ハエとかゴキブリとか蚊とかの底辺の虫程度だった。  それを見た父や母は凄く残念な物を見る様な目で私を見たわ。  【聖女】のギフトを授かったセシリアとは大違いな反応だった。   「召喚は、魔力を増やし、徳を積めば段々と優れた者を呼べるようになるギフトでございます」  そう教えてくれたのは、私の乳母のマーサだった。  私の為に一生懸命調べてくれたのであろう。  それを聞いた私は、他の事は一切勉強する気にはならなかったけど、この召喚の事に関してだけは、マーサに本を読ませながらそれなりに勉強した。  王宮の地下深くにある禁書庫、そこにはこの世界の禁術が書き記された本が収められているらしい。  勿論禁書庫だから誰でも入れる訳では無いんだけど、王家の血筋を引く者であれば、その扉は開かれた。  私は、マーサと共に禁書庫に入り悪魔召喚の書を見つけた。  これこそが私のギフトを最大限に活かせる一発逆転の大チャンスを与えてくれる本だわ。  その本をマーサに読ませると、単純に悪魔を召喚するには私の魔力だと私が千人居ても足らない量だと解った。  私はマーサに聞いた。 「この本に書いてあるように悪魔を呼び出したいけど、どうしたらいいの?」 「私にお任せください」  そう返事をしたマーサは宮廷魔導士団の男達に、自の身体を抱かせる事で協力を取り付けて行き、|漸く《ようや》魔力の総量が召喚に必要な数に及んだのは七十二人もの魔導士が必要だった。  私が六年間をかけて必死で書き写した、召喚の為の魔法陣の中央に、一糸まとわぬマーサの姿がある。  その周りには黒ずくめのローブで身を覆った七十二人の宮廷魔導士たち。  部屋にはマーサの用意したピンク色の煙を出す、おかしなお香が焚かれている。  次々に男達を受け入れるマーサが全ての男達の精を吸い込んだ時に、マーサの身体が内側から裂け、見るもおぞましい悪魔が姿を現した。  その悪魔は現れた瞬間に周りで腰を抜かした宮廷魔導士たちを、全て丸飲みにしてしまった。  そしてその姿は、飲み込んだ宮廷魔導士の様な姿形に落ち着いて行った。  ただ……その表情だけは女性の……マーサの物だったが…… 「我を呼び出したのはお前か? 我が名はダンタリアン。ゴエティア七十二柱に連なる魔神の一柱である。望みを言え」 「ダンタリアン様。私はミーリアって言います。私はこの国を手に入れ、贅の限りを尽くしたいの」 「それだけで良いのか? たやすい事だ。この身体を我に与えし者の思いは、もっと業が深く世界の征服であったぞ?」 「それもいいわね。じゃぁそれで」  ミーリアの覇道の始まりであった。
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